天然香料と合成香料
シイカです。
調香を実際に学びはじめてから、多様な香料に触れる機会が増えました。
フレグランスやお香などはもともと好きでしたが、その原料である香料を学ぶのは毎回新しい発見があり、とても楽しいです。
の門下にて、調香を学んでいます。
その技術の奥深さと難しさ、その複雑な世界に、毎回イメージ通りの香りを目指し試行錯誤しています。
また、調香師の基礎トレとして、多岐にわたる香料を覚えたり、それらを組み合わせたらどんな香りになるのか、組み合わせた後の香りもイメージとしてインプットしていくことが不可欠です。
さて今回のタイトル
天然香料と合成香料についてです。
●天然香料…いわゆる精油(エッセンシャルオイル)がほとんど。
草花、果皮などの植物由来のもの、樹脂から抽出するものなどなど。
現在ではムスクなど、動物由来の天然香料は一般ではほぼ入手不可能だったり、希少価値が高く超高額。
●合成香料…天然香料を模して、あるいは自然にはない新しい香りを目指して、香料会社が日々研究して作っている人工の香料。化学の結晶とも言えるかも
最初、何も知らないわたしは
天然香料が◯で、合成香料は×だという偏ったイメージを持っていましたが、それぞれどちらにも良さがあることを、学びはじめてから知りました。
わたしの場合、自然なものにこだわりたい気持ちがありましたが、現実問題として天然香料のみでフレグランスを作るとなると
・持続性の問題
・複雑さや奥行きを出しにくい
・香水には欠かせない、アニマルノート(アンバーグリスやムスクなど)の香料が手に入らない
・もし入手出来ても、完成品が高価になりすぎる
こういった理由から、天然香料100パーセントと謳っているフレグランスメゾンは、ものすごーく研究して持続性や奥行きを出していたり
そのぶん手が出にくい(おいそれとは買えない)値段だったりするのではないかと推測します。
天然香料のみでクオリティを保つのは、ほんとうにすごいことです…
そんなこともあり、自分のイメージにぴったりくる香りを作るためには天然、合成問わず出来るだけ品質の良い素材を使い、調香に工夫をすることが大事であると今は考えています。
イランイランの花
世界中の香料会社が、新しい合成香料を開発することにしのぎを削っており、
うまれたそのつど歴史を変えるような香水が現れていることを考えると
調香師がイメージを描く画家だとしたら
パレットの絵の具である色彩は多いほどクリエイティブなものがうまれる可能性は高まると感じています。
例えばCHANELのNo.5
(写真はWikipedia より)
No.5は当時新しく開発されたばかりのアルデヒドという合成香料を、世界ではじめてふんだんに使った革新的な香りでした。
女性の社会進出がはじまった時代とリンクするような、少しひんやりしたアルデヒド。クールなシャネルスーツを着た、大人の女性の自立をイメージさせます。
No.5は「誰にも真似できない、CHANELだけの香りを」というココ・シャネルのこだわりもあり、ジャスミンやローズなどの天然香料も当時から最上のものを使い続けているとのこと。
200種類を超える香りを緻密に組み合わせた上に、原料に最高級品を使えば、競合する他社だって、容易にはコピーできないはずだろう、という調香師の考えだったそうです。
香料ひとつとっても
ふしぎな魅力と
深遠な世界があり
知れば知るほどその虜になりそうです。
密かな夢として、人生で一度は香料の聖地、フランスのグラース地方を訪れてみたいと思っています。
エニシカ ラボ
シイカ